大工不足の現状
建設業界において現場の大工不足が大きな問題となっています。国勢調査の結果によると、1980年
には約94万人いた大工が、2015年には約35万人にまで減少しています。また、2015年の調査では、
大工人口の6割近くが50代以上となっており、30歳未満の大工人口は1割を切っています。今後も大
工人口は減少すると予測されています。
新設住宅の着工数と大工数
国土交通省の住宅着工統計を見ると、新設住宅はバブル期以降で減少が続き、2008年のリーマンショ
ック以降は100万戸を切っています。着工数の減少に伴い大工数も減少しましたが、リーマンショッ
クで減少した着工数は100万戸を切っているものの増加しており、減り続けている大工数では対応が
できなくなります。
2010年では、約40万人の大工で約80万戸の新設着工戸数を支えているため、大工1人あたり2戸の新
設住宅を対応している計算となります。このバランスで行くと、2015年の大工人口は約35万人である
ため、新設住宅着工数が約90万戸に対し大工1人あたりの生産性を約1.3倍に向上させなければ対応す
ることが困難な状況となっています。
大工不足の問題点
・ベテラン大工が引退していく中、受け継ぐ若い世代が少ない
・新設住宅着工数と大工人口のバランスが崩れ対応が困難となる
・職人不足により生産性の向上を求められる
対策
1、施工方法の検討
・木材やサイディングのプレカットによる工期短縮
・金物工法のような、熟練性を問わない施工方法
・パネル工法による、工場で予めパネル化された部材を組み上げる施工方法
2、人材の確保
・企業内で大工育成に取り組む
・外国人技能実習制度の利用
金物工法やパネル工法の普及
大工不足が深刻化する中で、施工を効率化、合理化できる金物工法やパネル工法が普及しています。
金物工法は、地震での建物倒壊の要因の一つとされる断面欠損を小さくできる点などで注目された背
景もありますが、加工や施工の簡略化による大工不足へ対応することや、施工の均一化により大工の
技術差をなくす点でも注目され普及してきています。
また、パネル工法は、サッシや断熱材なども予め工場で生産することで現場での工期を大幅に短縮す
ることができる工法として普及してきています。パネル工法の接合部には、生産性や施工性の向上の
ため金物工法が採用されています。
ストローグの構法は、一般的な金物工法とは異なり、施工の合理化に繋がることはもちろんですが、
接合部の強度が強く、従来の木構造では難しかった多様な木造建築を実現することが可能です。
→一般的な金物工法とストローグの違い
ストローグで実現できること
ストローグは、熟練性を問わない施工方法で正確かつ迅速に安全な施工が可能なため、作業内容・作
業工程が改善されることで職人不足へ対応することもできます。
1、正確かつ迅速に施工できるシステム
・予めコネクタをプレカット工場で取り付けるため正確で最小限の施工が可能
・熟練性を問わず、技術マニュアルに従いドリフトピン打ち込み、ボルト締め程度の施工が可能
・中大規模木造建築物でも適用可能
2、施工内容の削減と活用しやすいシステム
・高耐力で断面欠損が少ないため、補強金物が不要
・コネクタが木材内部に納まるため、断熱材等の施工手間を削減
・入会金などの費用不要なオープン構法
・高所作業が少なく安全性が高い
・パネル工法の接合部にも使用可能で、パネル生産性・現場施工性を向上
・ラーメン構造やトラス構造にも対応
ストローグを採用することで、補強金物や断熱材施工の手間を省くことができ、2人工ほど作業内容の
削減につながり、建設コストを抑えることが可能となります。
また、ストローグのシステムによる施工の簡易性、作業の安全性により、若い世代の大工離れの要因と
して挙げられる3K(きつい・汚い・危険)のイメージが薄れ、若い世代が入りやすくなることにもつな
がります。