従来の木造建築では、柱や耐力壁を設けることで荷重や地震に抵抗するという手法で設計
されていました。この場合、柱や耐力壁の制約により大空間や大開口を実現することが困
難となり、鉄骨造やRC造で建設せざるをえませんでした。現在では、接合部の技術発展に
より木造でも大きなスパンを飛ばし、大空間や大開口を実現できるようになりました。特
に、これまでは鉄骨造やRC造で建設されることがほとんどであった庁舎や教育施設、商業
施設のような中大規模の建築物も、公共建築物等木材利用促進法が施行された背景もあり、
ラーメン構造やトラス構造により木造で計画されるようになりました。
◎木造ラーメン構造
接合部を半剛接合にすることで柱・梁だけで水平力に耐えられるフレームを形成します。
部材には軸力、せん断力、曲げモーメントが生じます。柱、梁および接合部で構成される
フレームで地震力に抵抗するため材の断面は大きくなる場合があります。
→木造ラーメン構造とは
◎木造トラス構造
接点を回転自由な接合とした三角形を組合わせることで圧縮力と引張力の軸力のみに単純
化できます。小径材を組み合わせてフレームを構成することができるため一般流通材で中
大規模木造での大空間や大開口を実現することもできます。
ストローグで実現できる大空間・大開口・大スパン
ストローグの各種コネクタを使用することで、従来の木造では実現できなかった柱や耐力
壁に制約されない木造建築を実現することができます。接合部の強度を高めることで、ピ
ン接合でもスパンを飛ばした大空間や大開口を確保した建物を計画可能です。また、ピン
接合だけでは成立できない場合は、木造ラーメン構造や木造トラス構造を組み合わせるこ
とで鉄骨造やRC造でしか実現できなかったような建物も構成することができます。
事例
◎東京大学 弥生講堂アネックス →Works
設計 :河野泰治アトリエ
構造設計:東京大学木質材料学研究室、稲山正弘
構造特徴:特殊1方向ラーメンで大空間・大開口
◎岩手県気仙郡住田町庁舎 →Works
設計 :前田建設工業・長谷川建設・中居敬一都市建築設計・近代建築研究所
構造設計:ホルツストラ
構造特徴:ラチス耐力壁と21.6mのレンズ型トラスで大空間
◎学校法人東京内野学園 東京ゆりかご幼稚園 →Works
設計 :渡辺治建築都市設計事務所
構造設計:リズムデザイン=モヴ
構造特徴:Node.HSMLで接合した既製I型ビームで10mスパンの各教室を構成
◎豪徳寺の住宅 →Works
設計 :納谷建築設計事務所
構造設計:KMC 蒲池健
構造特徴:木造ラーメン構造で3層3連続の大開口
◎紫竹の町家 →Works
設計 :森田一弥建築設計事務所
構造設計:満田衛資構造計画研究所
構造特徴:木造ラーメン構造で3層の大開口とスキップフロア